BC(Basin) 付録2 マッキンリー登山の勧め

 マッキンリー(デナリ)に登りたいと思っている人は多いと思います。 ただ、入山許可、長期休暇、技術と体力 などの問題で登山を躊躇されている人もまた多いと思います。 そこで、私の独断でマッキンリー登山についてアドバイスします。(あくまで私の主観です。)

1.入山許可
 マッキンリー登山では、入山の60日以上前にNATIONAL PARK SERVICE(以下NPSと略)に登山申請を 行い入山許可を取る必要があります。
 2人以上のパーティーで登る場合、入山許可は簡単にもらえるので問題ありませんが、1人(ソロ) で登る場合、NPSは「We strongly recommend against solo travel」のように、「強く反対する」と 言う姿勢を取っています。
では、どうするか。 それは、NPSが決めた手順通りに申請手続きを行うことです。アメリカは自由の国 なので、手続きさえちゃんとできていれば、最後は "個人の責任" で登らせてくれます。

 具体的な手順は以下の通りです。
 1) 入山の60日以上前にRegistration(登山申請書)を送付する。
 2) Registration(登山申請書)送付後2〜3週間後に次の書類が届く。
  (1) 登山届を受け取ったので、25ドルをクレジットから引き落とす・・・と言う書類
  (2) 「単独登山に強く反対する」と言う警告書
  (3) 単独及び冬用の追加申請書
  (4) 「登山 デナリ国立公園および保護地域」と言う小冊子
 3) 単独及び冬用の追加申請書を書く。
 4) 出発するまでに、追加申請書をNPSに送っておく。(FAXが便利)
   あらかじめ追加申請書を送っておくことが大事です。
   これさえやって有れば入山許可はまずもらえると思います。
 5) タルキートナに着いたらNPS(レインジャーステーション)で入山届を行う。
   ここで、30分ぐらいのレクチャーを受けてPERMIT(入山許可書)がもらえます。
   もし、何か言われたらマッキンリーへの「想い」を熱く伝えて下さい。


2.長期休暇(会社の休み方など)
 全旅行日程3週間、登山日程2週間でも、マッキンリーに登れる人もいますが、登頂の可能性を 大きくするには、全旅行日程4週間、登山日程3週間程度と余裕をもって出かけることが大事です。
 1ヶ月休むためにはどうするか。まず1人で行くことを考えます。2人の人間が1ヶ月休もうと するより、自分1人だけが1ヶ月休む方がずっと簡単です。
 そして、一番大事なのが「計画書」を作成し早めに会社なり、学校なりに提出することです。 出来れば半年ぐらい前、遅くとも3ヶ月ぐらい前には出しましょう。もちろん半年も前だと完全な 計画は出来ませんので、大体の計画でOKです。「計画書」の利点は次の通りです。

1) 想いが伝わる
 口で「1ヶ月休ませて下さい」と言うだけでは、それを聞いた方は、本人の本気度がわかりません。 最悪その場で「ダメ」と言われて終わってしまうかもしれません。
 「計画書」を出せば最悪でも、「とりあえず読んでみるわ」となり、いきなりダメと言うことにはなりません。 後は、「計画書」の出来しだいでしょうか。

2) 予定が立てられる
 本人の予定はもちろんですが、例えば会社の場合でも、半年も前にしっかりした計画が有れば、 休みたい人の仕事量をコントロール出来るはずです。良く 「組織で仕事をするのだ」 と聞くのですが、 それが実現出来てる会社なら、一人の人間が休んでも組織でカバー出来るはずです。

 それでは、どんな「計画書」を作るのでしょうか。人それぞれと思いますが、私が作った「計画書」の 目次だけ上げておきますので参考にして下さい。

   1. プロローグ
   2. マッキンリー概要
   3. 目的
   4. 旅行スケジュール
   5. 登山タクティクス
    5.1 スタイル
    5.2 ルート
    5.3 スケジュール
    5.4 装備
    5.5 食料
   6. 安全管理
    6.1 行動基準
    6.2 予防接種
    6.3 医薬品
    6.4 体調管理
    6.5 体調管理表
   7. トレーニングと今後の予定
   8. 過去の主な実績
   9. 連絡先
   10. 登山申請書
      (Registration for Mountaineering Expedition)
   11. 登山申請受理書
      (We have received your registration forms)
   12. ソロに関する警告
      (We strongly recommnd against solo travel)
   13. ソロ及びウインター用登山申請書
      (Additional Registration information to be Completed by
       Soloists and Each Member of Winter Expeditions )
   14. 地図

 「なんで、予防接種なんて項目が必要なんだ。」と思われた方もあるでしょう。
これは、昔キリマンジャロや、アコンカグアに行ったときの計画書を流用している
からです。 計画書は一回作れば後々流用できて大変便利です。もちろん
マッキンリー登山では予防接種の必要はありません。

   これで、会社の休みは大丈夫でしょう。 あとは、家族をどう説得するかです。
私の場合は、母親と2人暮らしなので、出発の1週間ほど前に、
 私 :「ちょっと、アメリカに写真撮りの旅行に行って来るわ。」
 母 :「あぶない所には行くなよ。」
 私 :「あぶない所には行かないよ。」
これで終わりましたが、結婚されている方がどのように対応すべきかは全然わかりません。 各自作戦を考えて下さい。


3.技術と体力
 どれぐらいの技術と体力が必要なのか。これは難しい問題ですが、私が登った二日前には、 70歳の日本人女性も登頂に成功しました。天気さえよければ比較的簡単に登れるのです。
 私が考える目安は、「ゴールデンウィークに、立山から槍ヶ岳までを単独で歩ける程度」 です。 これで大丈夫です。後は、ユマールの使い方はマスターしておいてください。(私のように、ヘッドウォール FIX下で、ユマールの使い方を教えてもらってはいけません。 ^^;)

 もう一つ大事なことが抜けていました。高度に関する経験、これは重要です。
出来れば、標高6,000m以上の山の経験があり、高度で自分の体がどのようになる かがある程度分かっていれば心強いです。
 私の場合過呼吸の症状が出やすいので、過呼吸気味かと思ったら手で口の前を覆っ て自分の吐いた息(二酸化炭素)を吸い込むようにしています。
また、五大陸最高峰を目指す人なら、アコンカグアの次にマッキンリーが良いと思 います。
 あまり高い所の経験が無い人は、ゆっくり、、ゆっくり、自分の体調を確認しながら 登って下さい。体調が悪いと思ったら休養するか、高度を下げることが重要です。
目安としては、LPからBCまで5〜7日程度かけます。LPからC3まではあまり問題 ないと思うので、次のようなパターンが一つの目安です。
 1日目 LP(Landing Point 2,200m) ---> C1(Ski Hill 2,400m)
 2日目 C1(Ski Hill 2,400m) ---> C2(Upper Kahiltna 2,700m)
 3日目 C2(Upper Kahiltna 2,700m) ---> C3(Camp 11 3,350m)
 4日目 C3(Camp 11 3,350m) ---> BC(Basin 4,330m) ---> C3(高度順応)
 5日目 C3(Camp 11 3,350m) ---> BC(Basin 4,330m) ---> C3(荷揚げ)
 6日目 C3(Camp 11 3,350m) ---> BC(Basin 4,330m)
 7日目 BC(Basin 4,330m) で休養
C3(Camp 11 3,350m)で3泊ぐらいするのが、体力的にも楽と思います。
これでも、BCで調子が悪ければもう一度C3に下りて休養して下さい。
 BCから上は、個人個人の差が大きいのでなんともいえませんが、普通は、 HCを2〜3回往復後、
 1日目 BC(Basin 4,330m) ---> HC(Hight Camp 5,240m)
 2日目 HC(Hight Camp 5,240m) ---> Summit(6,194m) ---> HC
 3日目 HC(Hight Camp 5,240m) ---> BC(Basin 4,330m)
のような感じになると思います。
もちろん高度順応が旨くいって、体力があれば、BCからの頂上往復も可能です。

 その他登りやすい時期やルートは次の通りです。
 1) 時期
   6月1日ぐらいにLP(Landing Point 2,200m)に入るのが良いと思います。
   理由は、
    ・それほど寒くない
    ・それほど氷河があれていない
    ・人が多い

 2) ルート
   ウエストバットレスが一番簡単です。
   難しいところには、FIXロープが張ってあります。

 3) クレバス落下防止対策
   ・夜とか朝方の雪の締まっているときにを歩く。
   ・人の歩いたあとを歩く。
   ・必ずトレース上を歩く。

最後に、マッキンリー登山適性試験で適性を確認ください。

それでは皆さん決して無理をせず、楽しくマッキンリーに行きましょう!


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